人の目をダマすことは、とってもカンタン!

まず、次の図を見てください。
図

左右それぞれ、中心にある円の大きさは違うように感じませんか? おそらく、右側の図の中心円のほうが左側よりも大きいと感じた人が多いと思います。が、実際のところ、2つの中心円の大きさは同じ。同じ大きさの円がそれぞれ大きな円と小さな円で囲まれた場合、目が錯覚を起こし、大きさが違う円だと人に感じさせるのです。これは「エビングハウス錯視(さくし)」と呼ばれています。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの研究によって明らかになったと言われます。

では、次の画像はどうでしょう。
図2

いずれの横線もゆがんで見えるのではないでしょうか。実はこれも、横線はすべて平行に引かれていてゆがみはありません。試しに横線に定規などを当ててみればびっくりするかのでは? これは「ミュンスターバーグ錯視・カフェウォール錯視」と呼ばれる現象。平行線が黒の場合は「ミュンスターバーグ錯視」と呼ばれ、平行線が灰色の場合はカフェウォール錯視」と呼ばれるそうです。ちなみに「カフェウォール錯視」の由来は英国の研究者がコーヒーショップの壁の模様からこの現象を発見したことに由来するそうです。

2006年にテレビ番組で放映された「ポップル錯視」という現象もあります。これは2005年ごろからネット上などで話題になったもの。同じ単語の文字を続けて入力したとき、文字が下がったり上がったりして見えるとネットユーザーの間で広まり、これに錯視の研究者が着目。現在も研究中の錯視現象のひとつだそうです。具体的には次のような例があります。

杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―
杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―
杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―
―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏
―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏
―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏―ナマ杏
杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―
杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―杏マナ―

「杏マナー」の羅列は右下がりに、「ーナマ杏」は右上がりのように感じませんか?
(文字列の傾きぐあいはフォントや文字の大きさ(文字列の間隔)によっても変わるようです)

目の錯覚とひと口に言ってもいろいろな種類があります。先ほどから出ているような、ある一定の条件のもとに現実とは違う見え方をする場合は「錯視」とも呼ばれ、脳の働きと関係があると考えられています。現在、そのしくみははっきりと解明されてはいません。視覚が得た情報にそれまでの経験値やそのほかの補足を加えて脳が判断してしまうために起こるという説が一般的です。身近な錯視の例をあげるとしたら、月に関するものが分かりやすいでしょう。同じ日の月を日没後と、しばらく時間をあけた真夜中と2回見た場合、日没後の地平線近くにある月のほうが、真夜中の天空の真ん中にある月より大きく見えるはずです。これは地平線近くにある月は近くの風景や建物など比較対象となる物があるため距離感が実感しやすくなり、一方天空の月はまわりに比較対象となる物がないため遠く感じてしまうからだそう。

このように人間の目とは、現実の物体を見てはいてもさまざまな要因を加味したうえで判断するので、必ずしも正確に物のカタチや大きさを捉えることはできていないわけです。この錯視の効果を大いに利用すれば、ふっくら丸顔を少し小顔に、広めの肩幅を目立たなく、ふつうの脚の長さを少し長めに……なども不可能ではありません。それが、今から提案していく着こなしのテクニック術になるわけです。無理なダイエットをする前に、実践してみてください。それほど極端な変化は無いとしても、時間やストレスをかけずに変身できるはずです。