昨今のブームが定着した感がある「断・捨・離」。
パソコンでも一発変換で出ますね。片づけられない人も社会現象のひとつとしてテレビなどでもよく取りあげられています。そもそも「断・捨・離」はヨガの「断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)」という3つの行法を応用した考え方です。それぞれに「断=入ってくる不要な物事や欲望、習慣を断つ」「捨=不要な物(地位)を捨てる」「離=物事への執着・こだわりから離れる」という意味があるようです。
余談ですが、イギリスの生活評論家であるカレン・キングストン氏は独自の調査から「太り過ぎの人は物を捨てられないタイプの人が多い」という結果を発表したという記事を目にしました。氏いわく「物であふれた生活をしていると、じぶんの体内にも不要な脂肪を溜めこみがちになる」そうです。物をたくさん所有している人は、それだけいろいろな執着心にとらわれていることが多い。物だけでなく食に対する執着心も強くなりがちということでしょう。
さて、ここでじぶんのクローゼットの中身を思い出していただきたい。いったい、何着の服がありますか? たとえ大量の服が詰め込まれていても枚数を答えられるのであればいいです。何着か分からない・考えても答えられないという人は要注意です。おそらく、不要な服を捨てずにクローゼットに詰めこんだままにしているはずです。心理学で「拡張自我」という言葉があります。「人が持っている物、身につけている服、地位すべてがじぶんであるという概念」のこと。女性がブランド物のバッグやアクセサリーを身につけたり、男性が高級車に乗ったり、ハイブランドの時計を身につけて「ワンランク上のじぶんになった」とじぶんに自信が持てるようになるのは、「拡張自我」のなせる技というわけです。ナポレオンの名言「人はまとった制服のしもべとなる」です。
大量の服が詰めこまれたクローゼットの何が問題かと言うと、そこにある服の多くが持ち主にとって大きな価値を持っていないはずだから。「安かったから」「流行だったから」「なんとなく捨てられないから」などの理由でとりあえず置いてある服ばかりではないでしょうか。思い入れのない服はそれを着た人間に自信や魅力を与える可能性も低くなります。着てもマイナスにしかならない服にクローゼットを占拠させていてもいいことは何もありません。物が多いと思考が散漫になりがちで注意力が低下する、片づけられない自分を責めてしまう、片づけるときのことを想像しただけでストレスになる……など、精神衛生的にもマイナス面のほうが多いのです。
そこでクローゼットの中身をよく吟味して量から質へ、こだわりをシフトしてみます。次に私が推奨する「オフィシャルシーンでの20着」の一例を上げています。基本はジャケット+スカートもしくはパンツスタイル。さまざまなシーンで対応できるカーディガンやワンピース(ドレス)などもプラスしています。