前述の尾崎商事が行った調査で、中高生の制服の着崩しを大人たち(全国の20才以上の男女846人を対象)はどう感じているのかを同じく2010年にインターネットで調査したところ、「かっこ悪い」「どちらかというとかっこ悪い」の合計が20代は85.2%、30代は89.5%、40代は89.5%でした。集団の内と外とでは、ひとつの服装に関する価値観が真逆になることもあるわけです。この事実をしっかりと子どもたちに伝えておかないと社会に出たときのデメリットポイントになってしまいます。
衣服にはさまざまな種類があり、生活行動によって着るものが変化します。行動と衣料の関係を図にすると次のようになります。
ある場所に参加する場合に定められた服装をすることを「ドレスコード」と言います。結婚式をはじめとする冠婚葬祭などのフォーマルな場面や格式あるホテルのレストランやメインバー、豪華客のクルーズ旅行、会社や組織などの公式行事などで使われます。ひとくちにドレスコードといっても種類があります。たとえば、豪華客船などでは、その日のディナーのためのドレスコードの指定があり、船内新聞などで告知されるそうです。カクテルドレスを着た人の隣にカジュアルなワンピースを着た人が座るということもないわけですね。ちなみに、最低限のマナーとして知っておきたいことして、デニム(ジーパン)はドレスコードがあるようなオフィシャルな場では着用できません。デニムとはもともとワークスタイル、つまり作業着。いまはハイブランドもおしゃれなデニムファッションを発信していますが、あくまで遊び着として認識しておきましょう。結婚式などは「平服でお越しください」と招待状にあってもデニムは論外。プレゼンテーションや商談の場面でもデニムは良くありません。
「平服でお越しください」という文言についてもう少し解説すると、平服とは略礼装を指すのが一般的。女性であれば昼の席の場合、おしゃれなワンピースやスーツ、セットアップ。夜の席であればサテン生地など華やかな素材のワンピースやスーツということです。足元はパンストにヒールのあるパンプスが基本。平服=普段着ではないことだけは忘れないでください。
冠婚葬祭のなかでも、とりわけ気をつけたいのがお通夜のドレスコード。お通夜とは訃報を聞いた近親者が取り急ぎかけつける儀式なので、学校や仕事の帰りの服装でもいいと考えがちですが、マナーとしては基本、黒の着用が望ましい。黒以外としても濃いグレーや濃紺までが許容範囲でしょう。そして、付け加えたい要素が「上質な素材の服」であること。また、葬祭用の黒は、ふだん着用する黒よりも深みのある黒となります。学生さんの持っているリクルートスーツと喪服を比べてみると色の違う場合があります。リクルートスーツには黒が少し浅いものがあります。葬祭用のフォーマルウエアはあまり流行に左右されず長く使えるのでじぶんへの投資として1着用意しておくといいでしょう。
[一般的なドレスコード]女性編
■正装・フォーマル
昼はアフタヌーンドレス、夜はイブニングドレス
■準礼装・セミフォーマル
ロングドレス、カクテルドレス、ワンピーススーツ、スカートスーツ
■略礼装・インフォーマル
ワンピース、ツーピース、スカートスーツ