美人になる裏ワザは色のトリック

かつてDCブランド全盛の時代、全身を黒でコーディネートとした、いわゆる「カラス族」ファッションが流行したことがありました。それ以前のニュートラと称されたお嬢様風ファッションと相反するテイストであったため、とても斬新だと話題に。「カラス族」ファッションがモード系として認知され、それ以来、ファッションの中で「黒」は、斬新・神秘的・おとなっぽいなどのイメージを確立したように思います。
 普通、色は光を反射するという特性を持っていますが、黒という色はすべての光を吸収してしまう特性を持っている。そのため、人は黒に対して独特の存在感があると感じてしまいがちです。ファッションの分野においてはスリムに見せてくれるという効果も期待できる一方で、黒には重い・硬いといったイメージも。
心理学的にアプローチすると、黒は何かを隠したいときに使う色。また、光を反射しない特性から肌の色を美しく見せない色であり、その結果、老けた印象を作ってしまうことにも。
 黒の利点としては、黒と合わせた他の色を引き立たせてくれるという作用があるため、ポイントとして使う方法が有効。黒の独特の存在感を利用して「私はほかと違う」という自己アピールしたいときにも期待した効果が得られやすい。反対に自信の無さや心の弱さを隠したいときに黒でコーディネートしてしまうとネガティブなオーラを発してしまい、隠したい要素を浮き上がらせてしまうので、要注意。
もし、あなたの職業が占い師であれば黒はぴったりでしょう。神秘的で影のような存在という印象を相談者に与えられるからです。例え、実年齢よりも老けて見えたとしても、経験豊富な印象となり言葉に説得力が生まれるかもしれない。もしも、あなたの仕事がチームワークを大切にする内容であったり、取引先の人とのコミュニケーションが大事な仕事であれば、黒がメインのコーディネートは避けることをおすすめします。「何か話しづらいな」「何を考えているのかわからない人だな」「何か悲しいことがあったのかな」などと誤ったイメージを相手に与えかねません。何より、黒はすべての光を吸収してしまうので明るいオーラが外に発せられることがなく、魅力をアピールしにくくなる。黒は使い方ひとつで毒にも薬にもなる、まさに魔力を秘めた色なのです。
 白は、太陽光線の7色の光をすべて合わせた色です。光の反射率はどの色よりも高い。花嫁の着るウエディングドレスは純白が多く、コックさんのユニフォームも白が一般的なことからもわかるように、白は清潔感や信頼感を感じさせる色なのです。
白は光の反射率の高さ故、顔の近くに置くと肌色を明るく見せ、シミやシワなども目立ちにくくしてくれるという利点があります。タレントなどが写真を撮るときに顔色を美しくするために光を反射させて顔に当てるレフ板を使いますが、それと同じような原理。「美肌に撮れる」がうたい文句のプリクラも四方を白い壁で囲み、光を乱反射させて肌色がキレイな写真が撮れるようにしてあります。
 一方で、白は膨張色でもあるのでコーディネートをする場合、全身に使うとスタイルが悪く見える可能性も。トップのみを白にすれば、レフ板効果で肌を美しく見せることができるでしょう。首もとに白いストールを巻くという方法も有効。ウエディングドレスの場合、最近人気のガーデンウエディングであればさらにメリットが。天気さえよければ、陽の光を反射して全身が光り輝き、花嫁を一層美しく見せてくれそうです。
  脳には「同調現象」という性質があるとされています。これは、外部から入ってきた周波数に脳波が近づこうとする現象のことだとか。たとえば「α波ミュージック」という音楽のジャンルがあります。α波は人がリラックスしているときの脳波の状態(7~13ヘルツ)のことであり、α波を出す音楽を人間に聞かせるとそれをキャッチした脳が脳波をα波に合わせようとするため、リラックス効果が期待できると言う
 α波ミュージックは音の話ですが、色にも波長があり、その波長が脳に影響を与えるとされています。まず、色について簡単に解説を。太陽の光にプリズムを当てると虹のような色の帯を見ることができますが、この色の帯をスペクトル=波長と言います。このうちの特定の波長の色は人が見ることができる「可視光線」と言います。人が識別できるのは380~780ナノメートルの範囲内。たとえば、赤は610~750ナノメートルであり、波長の違いを脳が認識し、いろいろな色に見えているのだとか。
 では色は人にどのような影響を与えるのか。海外で次のような実験結果が得られています。ある工場の休憩室の壁面は最初ブルーに塗られており、その時従業員は始終「寒い」と苦情を言っていたそうです。その後、壁をオレンジに塗り替えたところ、以前より低い室温設定のときでも従業員たちは「暑い」と言うようになったとか。つまり、ブルーという色の印象は「涼しげ」で、オレンジは「暖かい」となり、視覚で得た色の特性に脳が同調し、体感温度まで変えてしまったと考えられるわけです。
 一般的に、脳は見た色によって、さまざまなホルモンの分泌を促されると考えられています。詳しくは以下の通り。
<色の効果によって分泌が促進されるホルモンの種類>
●ブルー→セロトニン(リラックス)
●バイオレット→ノルアドレナリン(興奮)
●ピンク→エストロゲン(美肌づくり)
●レッド→アドレナリン(脳の活性化)
●オレンジ→インシュリン(血糖値を下げる)またはグレリン(食欲増進)
●イエロー→エンドルフィン(鎮静効果)
●グリーン→アセチルコリン(落ちつき、消化促進)
 これらはあくまでも一般的に言われている効果。個人的な体験から人によって色に対するイメージに違いがあるため、万人に当てはまるわけではありません。
 東洋医学において、近年「色彩治療・色彩療法」が取りいれられていると聞きます。人の身体にあるおよそ60億個の細胞にはそれぞれ波長があり、体調が悪くなったときはこれら細胞も通常と違う波長になるとか。その異常な波長と同じ波長の色を当てることで、波長は通常の数値に戻り、体調も回復するそうです。色のパワーは使い方によっては効果が無限大です。病気の治療とまではいかなくても、内面を強くする処方箋のひとつとして知っておくのもよさそうです。色については別の章でもまた、くわしく解説することとします。