失敗体験もじぶんの引き出しにしまっておく

 「じぶんの服装を第三者の立場から見るようにしよう!」と心がけているとはいえ、すぐにメタ認知能力をめるのはむずかしい。そんなときはドレスコードやTPOの知識が強いサポーターに。
 パーティーや結婚式の2次会の招待状などの文中にはよく「平服でお越しください」と書かれてます。実際、フタを開けてみれば会場に来ている人々の服装は、じつに様々。スーツやワンピースのなどの少しあらたまった服装の人もいれば、ポロシャツなどのカジュアルな服装の人もいます。「平服」の受けとりかたが人によって違うことがわかります。世に「ドレスコード」という言葉があります。「Dress Cord=服装規定」。「軍隊や学校などの集団やパーティなどの集会、高級レストランなどにおける服装の規則」(デジタル大辞泉より)とあります。本来は、その場所や会合の主催者が決め、それを来場者に通達する際に示すもの。たとえば、格式の高いレストランでは「ノーネクタイ、ノージャケットはお断り」などと表示したりしています。ドレスコードやTPOの条件をきちんと満たしていれば、ファッション・コミュニケーションでつまずくことはないはずです。
  とにかく、メタ能力を高めたいなら、恐れずにいろいろな経験をしましょう。たとえ失敗しても、次のステップのための知識として貯金しておけばムダにはなりません。いろいろな経験を記憶の引き出しにしまっておけばいいのです。そうすれば、多彩なシチュエーションへの応用力になります。
 じぶんの引き出しに入れたいものは、他にもあります。それは身近な第3者からのアドバイス。親しい人であれば、その場にそぐわない服装をしていればアドバイスをしてくれるはず。なかでも3パターンの賢人の言うことは注意をして聞いてみてください。
その3パターンの賢人とは
センスが競える人……女友達
ほんとうのことを言ってくれる人……母親
異性目線を教えてくれる人……男友達
  ワコールが2010年に実施した女性の意識調査で「自分の容姿について、どのような人の目を意識しますか?」という問い(複数回答)に対し、最も割合が高かったのが「同性の友人」で、7割近くにのぼりました。次いで4割以上が「自分自身(自己満足)」と答え、3番めが「夫」で3割以上の人が回答しました。(ワコール ココロス研究会『女性の下着と心理に関する意識調査』ココロス共同研究レポートvol.1 20073月より)
 女友達はじぶんが同性の目を意識しているぶん、友達の服装もよく観察しています。ただ、女性同士は、社交辞令的にお互いを褒めあうことも多いことは頭に入れておきましょう。気のおけない友人であれば歯に衣を着せぬ批評をしてくれるかもしれませんが、それも相手のキャラクターしだい。方法としては、会った瞬間の反応に注視してみてもいいかもしれません。「わー、ステキなジャケットね! どこのブランド?」「今日はいつもと雰囲気が違うね。いいじゃない!」など開口一番、好反応なら正直な感想といえるでしょう。ふつうのあいさつから、すぐに世間話に入った場合は服装にふれたくないのかもしれません。もし、お互いの服装について、とくに会話がなかったとしても大丈夫。相手の服装をよく観察するだけでもいいのです。そして自分の服装との違いをよくチェックして、今後の参考にしましょう。ただし、おしゃれな友人に限りますが(笑)。
 母親からは友人よりも辛辣なフレーズがどんどん出てきます。そんなとき「お母さんたら、ひと言多い!」と怒る前に母親の言葉のなかにあるヒントを探してみてください。それは、目上の女性からの意見かもしれないし、母親の経験値から出た感想かもしれない。いずれにしてもじぶんには無い目線なので、いっときの感情に流されずアドバイスとして受け止めてみましょう。

 異性の場合、夫や恋人の意見はかなり貴重。多くの場合「自分のパートナーがきれいに見えるように」「恥をかかないように」と考えて意見をしてくれるはずです。男友達の場合は彼のキャラクターにもよりますが「嫌われたくない」と思ってストレートな感想を言わないかもしれません。そんなときは、彼の態度を見て判断してもいいし、気のおけない仲であればじぶんから「今日の服装どう思う?」など、問いかけてみるのもひとつの方法です。女友達に褒められたことがある服装でも異性には受け入れられないなど、いろいろ勉強になることがあると思います。