初頭効果と親近効果の違いを知っていますか?

初頭効果は物事のはじめが印象に残りやすい現象のことで、
親近効果は反対に一番おわりが印象に残りやすい現象です。

正反対の意味を持つ現象ですが、この2つはセットで覚えておくと
コミュニケーションに活用できます。

まず、初頭効果ですが、

aポーランドの心理学者アッシュが学生を対象に実施した実験があります。
学生たちを2つのグループ(AとBします)に分け、
彼らが初めて会う男性について、事前の説明をグループごとに別の言い方でしたそうです。
Aのグループには、
「彼は知的で、勤勉で、衝動的で批判的で、強情で、嫉妬深い人です」。
Bのグループには
「彼は嫉妬深くて、強情で、批判的で、衝動的で、勤勉で、知的な人です」。
お分かりですね? 同じ言葉の順番をAとBで変えてみただけなのです。
その結果、
Aのグル―プは「彼」に良い印象を持ち、Bのグループは悪い印象を持ったとか。
最初の2つの言葉の選びかたで同じ人物に対する印象が正反対になるわけです。

この実験でも分かるように一番最初に聞いた言葉は記憶に残りやすく、
その後の判断基準にもなるのです。

以上のことから、ビジネスシーンにおいて
取引先の相手と初めて会うときの最初の数秒がいかに大切か、
分かっていただけると思います。
初対面で好意を持ってもらえなかった場合、
印象をプラスに変えるのは至難の技なのです。
その逆もまたしかり。
たとえば、男女の場合、ひと目惚れをしてしまった相手の良くない評判を後で他人から聞かされても、
なかなか恋の魔法が冷めないように。

次に親近効果は、

親近効果は初頭効果とは正反対で、
物事の最後に起こったことが記憶に残る、という現象です。

仮に初対面で失敗したとしても、
会合の終わりや別れ際などに挽回できれば、相手にいい印象を与えることができます。
「終わり良ければ全て良し」という言葉はありますが、
ハッピーエンドの物語が多いのはこの親近効果に由来します。
そのことから終末効果とも呼ばれます。

では、次にビジネスシーンなどでの活用方法をご紹介しましょう。

11-2まず、初頭効果を上手に利用したい場合、
重要な情報を最初に持ってくるようにします。
例えば営業やプレゼン、メールレターの場面で
一番最初に顧客の興味を引くような内容を伝える。
見込み客を増やしていくために有効です。

一方、親近効果の場合はその反対で、
重要な情報を最後に持ってくるようにします。
重要な情報と言うのはセールスポイントのことですね。
フィナーレで顧客を惹きつけ、すかさず商談へと移行するようにします。

ここで少しわからなくなるのは、
結局、最初と最後どっちが大事なの?ということ。

最初にガツンとインパクトを与えないと
顧客はそのまま去ってしまう恐れもあるわけです。
相手を繋ぎ止めるには出し惜しみはできません。
一方ある程度、こちらの起業や商品に関心がある顧客に関しては、
一番重要な情報を最後にすると「何をまどろっこしいことを!」と
相手をイラつかせてしまうことがあるかもしれません。

何より大切なことは、相手と自分の関係をよく見極めること。

使い方さえ間違えなければ、対人関係の大きな武器になるはずです。