なんでもありのクールビズスタイルはおかしい

●「クールビズスタイル」≠リゾートスタイル

 最近のビジネスシーンで私が気になっているのが「クールビズ」。日本の夏の季語として定着している観がありますが、ちょっともの申したくなるケースがちらほら。公的な機関の窓口などで係員がショート丈のパンツにサンダル履きという姿で業務についている姿を見ると「何か違う」と思ってしまいます。節電やエコのためという背景はいいとしても、果たしてT...をクリアしているか否か。勤務規定には反していないかもしれませんがビジネスシーンにおいては社内の人間だけではなく、社外の人間とも同じ空間を共有することが多いもの。関係者以外の第3者に与える印象を考えないと、その企業や団体の悪い印象を演出しかねません。前述した「「相手の印象は最初の2~3秒で決まる」という人間の心理的作用を考えたとき、クールビズの実行は慎重になってしかめるべきだと思います。たとえば、仕事の行き帰りの電車の中、業務終了後のデパートの中、ほかの団体との会合などにおいては、非常識に見えてしまう危険性をはらんでいます。ファッション・コミュニケーションの視点からも、クールビズはあまり喜ばしい流れとはいえません。

 ただ、職場でクールビズ実施が決められた場合、ひとりビジネススーツを着ているわけにはいかなもの。その場合、最低限のマナーとしてトップスには襟があるものを着るようにしてほしいですね。仕事場はあくまでも公の場であり、「襟を正して」職務に臨みたい場所。カジュアルなポロシャツでも襟がないTシャツと比べると、はるかにキチンとした印象が出せます。また、ポロシャツであれば上にカジュアルなジャケットを羽織ってもそれほど違和感はありません。女性の場合、キャミソールやミニスカート、ミュールは避けるべきでしょう。職場に持ち込んだ場合、周囲に不快感を与えてしまうのが「セクシーさ」です。必要以上に素肌を露出したファッションは、仕事ができる女の演出には最も不向きなのです。男性の場合、ネクタイをしめてもおかしくないようなカジュアルなシャツの着用が好印象につながります。そして、膝から下の素肌が見えるような短パンもビジネスではNG。リゾート地でも洗練されたレストランなどでは短パンにサンダルは入店拒否が常識です。そして、行き帰り用のサマージャケットを携帯したり、靴は職場で履き替えるなどで対応することをお勧めします。忘れてはならないことは、クールビズはリゾートファッションではないということ。ビジネススタイルから何を抜くか、というスタンスでコーディネートを考えていただければいいと思います。